2025.1.9 第444号 |
FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会 |
■電子カルテ利用時における紙文書等の取り扱いについて |
近年、勤務医として電子カルテを利用してきた世代の先生方が開業するようになり、診療所における電子カルテ普及率も5割近くまで上昇してきました。これに伴い、ご自身の医療機関における情報については電子化が進められていますが、他施設からの診療情報提供書や患者の署名が必要な同意書など、紙を主体とする「非電子化情報」もまだまだ多数存在しています。こうした情報をスキャナ等の機器で電子化してカルテシステム内に取り込んで閲覧・参照することは業務の効率化に欠かせないものではありますが、その際の「元データ」となる紙文書の取り扱いについて、会員の先生方からいくつか質問をいただいておりますので、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン6.0版」の内容をもとにご説明いたします。 まず、紙媒体等で作成した医療情報の電子化については、全部で8項目の遵守事項が定められており、主なものとしては以下があげられます。 ●必要な情報機器等の条件や手順が運用管理規程等に定められている ●スキャン情報と元情報が同等であることを担保する情報作成管理者が配置されている ●作業責任者が法に適合した電子署名を遅滞なく行うことが規程等に定められている 上に出てくる「電子署名」ですが、これについてもガイドライン上に定められており、医師等の国家資格の確認が電子的に検証できる、以下のいずれかの電子証明書を用いた電子署名を用いることとされています。 a.保健医療福祉分野PKI認証局の発行する電子証明書 b.認定認証事業者または認証事業者の発行する電子証明書 c.公的個人認証サービス (b、cは医師等の国家資格の確認も電子的に検証できることが必要) ただ、これらの証明書の有効期間は通常1〜3年程度のため、カルテ保存として必要な期間の真正性担保のためにタイムスタンプを利用して署名の有効性を延長する必要があります。 このタイムスタンプについては、医療機関のスキャナ等で文書取り込みを行った際にファイルに付与される時間ではなく、一般社団法人日本データ通信協会が承認した「TSA(Time-Stamping Authority)」と呼ばれる第三者機関にあたる事業者が有償で付与するものとなります。 したがって、上記のプロセスを経ないまま電子カルテシステムに取り込まれた紙媒体の情報はあくまで「参照用」で原本として扱うことはできないため、紙媒体を廃棄することはできないということになります。また、適正なプロセスを経て電子化されている場合においても、紙媒体がもつあらゆる情報(小さな折り皺やペン先などで開けてしまった穴など)がスキャンできているとは限らないため、破棄は義務づけされてはいないことにも留意しておく必要があります。なお、廃棄には溶解、粉砕(シュレッダー)、焼却といった方法がありますが、対象が重要な個人情報であることから機密文書処理事業者に委託するのが一般的とされています。いうまでもなく、業者選定には十分に注意する必要があります。 関連のガイドライン等は以下からダウンロードが可能です。電子カルテの導入・運用に際してはこれらに留意する必要がありますので、ご一読いただければと思います。 ●医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html ●医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027272.html ●医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/teikyoujigyousyagl.html |
■令和6年度 第2回北九州市医師会感染対策カンファレンスの開催について |
当会では令和4年度より「感染対策向上加算」および「外来感染対策向上加算」の施設基準にある『院内感染対策に関するカンファレンス』として、年2回、カンファレンスを開催しております。本年度第2回を下記の通り開催しますので、ご案内いたします。 尚、今回、各区医師会にサテライト会場を設置します。「 診療所 」の先生方におかれましては原則、ご所属の医師会館にてご参加をお願いいたします。 ●日 時:令和7年2月4日(火) 19:00〜20:30 ●受講場所:以下の通り(診療所・病院) @ 各区医師会館 サテライト会場 <集合形式> 対象:「外来感染対策向上加算」の届出を行っている(届出を予定している) 診療所 の院内感染管理者等(医師・看護師等) A 各感染対策向上加算施設 <ZOOMによるWeb形式> 対象:「感染対策向上加算1・2・3」の届出を行っている 病院 の感染制御チームの構成員等(医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師等) ●プログラム: 『 テーマ:日常診療で気をつけるべき細菌感染 』 1.ミニレクチャー (2題) 皮膚科領域:小林 美和(こばやし皮膚科クリニック 副院長) 眼 科領域:荒川 聡(荒川眼科医院院長・北九州ブロック眼科医会会長) 2.パネルディスカッション パネリスト 伊藤 重彦(北九州市保健福祉局保健所医療対策監) 荒川 聡(荒川眼科医院院長・北九州ブロック眼科医会会長) 小林 美和(こばやし皮膚科クリニック 副院長) 石井 義輝(北九州市医師会 理事) 3.感染対策訓練「 感染防護具 着脱手順(動画上映) 」 |