2008.10.21 第231号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆保険委員会だより◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する質問が委員会に寄せられています。わかる範囲内を委員会で検討してお知らせ致しますが、委員会は審査会ではありませんので、ご参考としてお目通し下さい。
1)ヘリコバクター・ピロリについて
@ヘリコバクター・ピロリ除菌後の感染診断については、除菌終了後4週間以上経過し、除菌判定のために掲げる検査法(迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、抗原測定)を実施した場合、何れか1項目のみ算定できます。
Aヘリコバクター・ピロリの感染診断を行う際、静菌作用を有する薬剤を投与している場合は、感染診断の結果が偽陰性となるおそれがあるので、静菌作用を有する薬剤の投与中止又は終了後4週間以上経過していることが必要です。
また、診療報酬明細書の摘要欄に、@は、除菌終了年月日を記載する、Aは、薬剤投与中止及び終了年月日を記載する必要がありますので、ご留意ください。【平成20年4月版「医科点数表の解釈」より】
2)創傷処理の真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合、露出部の創傷に限り真皮縫合加算は算定可能となっております。平成20年4月の診療報酬改定より、「露出部」とは、『顔面、頭頸部、上肢にあっては肘関節以下、下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く)』に取扱いが変更されております。
※社会保険診療報酬支払基金のホームページ(http://www.ssk.or.jp)に審査情報提供事例が掲載されておりますので、ご参考までにお知らせ致します。




◆◆◆ 一部負担金割合の変更と受診控えについて ◆◆◆

新聞各紙の報道によると、与党は後期高齢者医療制度において、夫婦の一方が同制度の対象となることで、今年の8月から医療費の窓口負担が1割から3割に増えた高齢者に対して、元の1割負担に戻す方針で政令を改正し、来年1月から実施する予定とのこと。
後期高齢者医療制度での窓口負担は原則1割ですが、現役並み所得者は3割負担となっています。仮に夫が80歳で年収390万円、妻が70歳で年収120万円の場合、従来の国保では世帯収入が510万円として、1割負担でしたが、後期高齢者医療制度では夫が同制度に移行し、妻は国保に残ったことで、夫婦は異なる制度に加入している単身世帯とみなされ、夫だけが現役並み所得者として3割負担となります。(現役並み所得者の基準は、課税所得が145万円以上で、@夫婦世帯で合計年収が520万円以上 A単身世帯で383万円以上)
世帯の所得は変わらないのに、夫婦を別々に見るのはおかしいという批判を受けて見直しがはかられることになる予定で、対象者は全国で1万数千人ほどいるとみられております。
問題はこうした報道を受けて、早くも高齢者の一部に年内の受診を控えようとする動きがあることです。
本会にも早速、高齢者から「高額な検査は1月以降にしたいと思うが・・・・」といったような内容の電話が寄せられております。
その多くは緊急性を伴わないと思われる歯の治療に関するもので、歯科の件については、(歯科医師会のことなので)本会では応えられない旨を回答しておりますが、当然医科についても、年末に向け、同様の考えを持つ高齢者が多くなるものと思われます。
今後、患者さんより、そのような質問や相談があった際には、検査や治療等の必要性とともに、現状ではあくまでも新聞報道でのことであり、また近く予定されている選挙の結果等々変動要因も多いことから、本当に改正されるかどうかについては、断言が出来ないことを合わせてご説明いただきたいと思います。




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

10月15日(水)、日本医療機能評価機構は、処方入力の際に薬剤の単位を間違え、過量投与した事案が3件発生したとして、「医療安全情報NO23」を公表した。
それによると、ノルバスク5mgを処方するつもりのところ、オーダリングの処方入力画面に「ノルバスク錠5mg」と表示され、単位の初期設定が「錠」であったが、これに気付かず「5」と入力したため、誤って5錠(25mg)が処方された。
また、同様に、注射用エクザール5.5mgを処方するところ、オーダリングの処方入力画面では「エクザール10mg」と表示され、単位の初期設定が「本」であったが、これに気付かず、「5.5」と入力したため、誤って5.5本(55mg)が病棟に払出された。他にプログラフ注射液1mgの予定を誤って1ml(5mg)を投与した。
事例が発生した医療機関では、入力の際、画面に表示される単位を確認することと単位間違いが起こりやすいことを認識し、処方鑑査を強化するとしている。