2007.8.21 第212号 |
FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会 |
◆◆◆ 弁護士会紛争解決センターからの呼び出しについて ◆◆◆
最近よく耳にします裁判外紛争解決手続き(ADR)とは、斡旋・調停・仲裁といった方法により、紛争を解決する手段であり、本年4月からは「裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律」(通称:ADR法)も施行されております。 弁護士会では医療の他、離婚や遺産問題をはじめとしたすべての紛争に対応する紛争解決センターを各地に設置しており、本県においても「福岡県弁護士会紛争解決センター」が設置されております。 今般、患者がこの紛争解決センターに医事紛争の解決依頼を行ったことから、同センターより、会員に呼び出し状が送付されて来た事案が複数発生しております。 こうしたケースは、今後も増加が予想されますので、もし紛争解決センターから呼び出し状を受けた場合には、個人で判断をせず、急ぎ区医師会までご連絡くださいますようお願い致します。 尚、医師会には医事調停委員会がありますので、患者や家族等と紛争が生じた折には、従来どおり、まず区医師会に急ぎ紛争報告(事故報告)を行ってください。 また、現在、弁護士会には顧問弁護士を通じ、「医師会には医事紛争の解決を目的とした医事調停委員会があるので、他の紛争問題とは異なるんだ」ということを申し入れております。 |
◆◆◆ 次期診療報酬改定について ◆◆◆
今月10日(金)、2008年度予算の概算要求基準が閣議で了承されました。
次年度の予算編成については、今回の参議院議員選挙において、自民党の医療系候補が軒並み落選したことから、財界や財務省主導による市場原理主義的な予算編成に向けた動きが加速することが懸念される中、社会保障費については「骨太の方針2006」どおり、自然増の7500億円を2200億円削減し、5300億円程度の増加にとどめる方針となりました。 ただ、与党議員の中からは参院選の惨敗を受けて「このままの歳出削減路線では次期衆院選を戦えない」といった声も出始めており、今後こうした議員や財界・官僚との駆け引きが大きな焦点となりそうです。 一方、厚労省では地方における医師不足や産婦人科・小児科医療の充実に対応する必要から診療報酬の引き下げは困難だとし、現時点では「薬価改定」「後発医薬品の使用促進」「4年連続黒字の政管健保負担の在り方の見直し」などを通して捻出する方針。 |
◆◆◆ 医師が不当な要求をする患者を訴え勝訴 ◆◆◆
今、学校現場では、いわゆるモンスターペアレントと呼ばれる親たちからの昼夜を問わぬ不当なクレームに頭を悩める教師たちが、訴えに備えるため、警察や弁護士を交えた対策委員会を学内に設置したり、教師が個人で損害保険に加入するケースが急増しています。 クレームの内容は「休んだ日の給食代を返せ」「○○は絶対にウチの子と同じクラスにしないでくれ」「(無断で子供に授業を録音させ)先生の教え方は下手だ」「人間は皆平等ではないか、先生は教壇から降りて同じ高さで授業をするべきだ」等々、考えられないような内容ですが、こうしたことは近年“日本人の劣化”といわれるように、行き過ぎた権利意識の高揚や履き違えから、様々な分野で同様のトラブルが生じています。 医療現場においても例外ではなく、讀賣新聞が全国の大学病院に対し、昨年1年間で430件にも及ぶ患者側からの暴力を伴うトラブルがあったことを一面報道(8月19日朝刊)したように日常茶飯時化しており、本来、医師に診療の義務はあっても治癒の義務はないのですが、近年、患者が期待したとおりに治らなければ、すべて医師が悪いという風潮から、それが根拠のないクレームとなって医療現場を困らせています。 そんな中、先頃、患者の不当なクレームに対し、医師側が患者を訴えた結果、勝訴したという非常に珍しいケースがありました。 千葉県八街市にあるA院のB医師(男性:49歳)が、適切な治療を行ったにも関わらず、患者C(男性:67歳)から不当な損害賠償を請求されたとして、患者Cを相手取って200万円の慰謝料を求めていた訴訟の判決が千葉地裁であり、裁判所は患者Cに対し、30万円の支払いを命じました。 案件の概要は昨年5月、患者Cが耳を虫に刺されたと訴えてA院を受診した際、B医師は帯状疱疹と診断、治療を施したところ、その後患者Cの顔に神経マヒが生じたことから、患者Cは再三にわたり治療が不適切だったとして、A院に対し170万円の損害賠償を要求していたというもの。 判決は「帯状疱疹の診断や治療薬の選択は適切であり、B医師は金銭を要求する文書を送付されるなど、相当程度の畏怖を感じた」としました。 ただ、医師が患者に勝つ裁判はあまり国民受けしないためか、毎日新聞以外にはほとんど報道されなかったようです。 |
◆◆◆ 短信〜メバロチンの予防投与について ◆◆◆
政府は15日(水)の閣議において、民主党の 郡 和子 衆議院議員(東北ブロック比例当選)から提出のあった質問書に対し、「高脂血症を原疾患とする合併症の冠動脈疾患を予防するためにメバロチンを投与した場合は保険請求が可能」とする答弁書を了承。 原疾患の重篤化によって合併症に罹患することが想定される場合、原疾患に対する治療が合併症の予防的投与となっても、保険給付の対象となる場合があるとし、その具体例として「メバロチン」を挙げております。 |