2007.5.21 第208号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 保険委員会だより ◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する質問が委員会に寄せられています。わかる範囲内を委員会で検討してお知らせ致しますが、委員会は審査会ではありませんので、ご参考としてお目通し下さい。
・血糖値およびHbA1Cの数値により強く糖尿病が疑われる場合、「糖尿病疑い」の初診月の耐糖能精密検査(糖負荷試験)の実施については、原則として認められます。
・リーバクト顆粒は「@腹水・浮腫または肝性脳症を現有する患者もしくはその既往のある非代償性肝硬変患者のうち、食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する患者」「A糖尿病や肝性脳症の合併等で総熱量や総タンパク(アミノ酸)量の制限が必要な患者」に使用した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、初回(投与前)の血清アルブミン値とその正常値をご記入ください。
・神経ブロックでは、疼痛管理を専門としている医師またはその経験のある医師が、原則として局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくは神経破壊剤または高周波凝固法を使用した場合に算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、局所麻酔剤または神経破壊剤とそれ以外の薬剤を混合注射した場合においても、神経ブロックとして算定できる。なお、この場合において、医学的必要性について診療報酬明細書に記載する、となっておりますので、ご留意ください。<医科点数表の解釈より>
※社会保険診療報酬支払基金のホームページ(http://www.ssk.or.jp)に審査情報提供事例が掲載されておりますので、ご参考までにお知らせ致します。




◆◆◆ 最近の一連の新聞報道について ◆◆◆

最近、大手新聞各紙に「総合的な診療能力を持つ“かかりつけ医”を認定」「来年度より後発医薬品の使用を標準とするため、処方せん様式を改正」「開業要件にへき地勤務を設定」「開業医の初診・再診料の引き下げ」といった見出しが躍り、不審に思った会員も多いことと思いますが、これらはいわゆる“トライアル・バルーン”と呼ばれる、政治家や官僚が世論の動向を伺ったり、あるいは徐々に世論形成を行っていくことを目的としてよく行う“小出し発表”とも呼ばれる手法であります。
政府・財務省は2011年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を掲げていることから、社会保障費についても向こう5年間で1.1兆円の削減(国家予算ベース)を目標としており、従って、今後も各種の審議会や諮問委員会において、無謀な改革が提案されたり、政府・官僚が突拍子もないことを言い出す懸念が大いにありますので、我々はこれを注視するとともに、医系議員らを通じるなどして、決して財政のみの観点から医療改革が押し進められないよう働きかけてまいります。
会員各位には“トライアル・バルーン”が現実化してしまわぬ様、ご支援ご協力をお願い致します。
尚、日本医師会はこれらの報道に対し、あたかも賛同したかの様な表現が用いられている点については、全くの事実無根だとし、また唐突に発表された提案については即刻記者会見やホームページ等を通じて、反論を唱えております。
特に、5月18日(金)付日経新聞に「開業医の初診・再診料下げ―厚労省方針来年度から病院との格差是正―」との見出しで、厚生労働省が来年度の診療報酬改定で開業医の初診・再診料を引下げる方針を固め、あわせて開業医の時間外診療や往診料などの報酬を引き上げ、夜間診療などへの取り組みを促すことを中医協において、7月から検討をはじめるといった内容の記事が掲載された点については、具体的な議論が始まっていない状況であるにも関わらず、突然このような内容が掲載されたため、早速厚生労働省関係部局へ事実確認を行うとともに、然るべき対応を図るよう強く申し入れを行っております。
また、武見敬三厚労省副大臣も緊急の記者会見を開き、「憶測に基づく記事がこのところ目立つ。誤った事実が国民にそのまま伝わってしまうことを懸念している」と述べ、一連の報道姿勢にクギを刺す発言を行っております。